空調用の冷媒配管とは、エアコンの室外機と室内機の間をつなぎ冷媒を循環させる配管のことです。結露を防止する等を目的で、銅管の外側にポリエチレンフォーム等の保温材を被覆した冷媒用被覆銅管が広く使用されています。
2012年、冷媒用被覆銅管の日本銅センター規格(JCDA 0009)が制定され、 平成25年(2013年)版より国土交通省営繕部監修・公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)に掲載されました。また2020年、一般用途冷媒用被覆銅管の日本銅センター規格(JCDA 0010)が制定されました。
他に冷媒被覆銅管や被覆冷媒配管、空調用銅管、ペア巻、被覆銅管など様々な呼ばれかたがあり、どれも同じ冷媒用被覆銅管です。その冷媒用被覆銅管の種類や基本的な施工フローについて、ご紹介をしていきます。
1.冷媒用被覆銅管のシングル管とペア管とは?
【シングル管】
(1)保温材
※規格では「断熱材」と記載、被覆材とも言います。
JIS A 9511 「発泡プラスチック保温材」に規定するA種ポリエチレンフォーム保温筒2種等が使用されています。
難燃性を有するものが使用されており、JIS C 3005の傾斜試験による燃焼試験を行ったとき、 60秒以内に自然に消えるものである必要があります。
(2)原管
JIS H 3300「銅及び銅合金の継目無管」に規定する銅管による。
C1220T(りん脱酸銅管)が使用されています。
【ペア管】
口径の異なるシングル管の表皮材を融着し、ペアにしたもの。
※規格では、原管質別・ 外径及び肉厚と、それに対する保温材の厚さが規定されています。
2.冷媒用被覆銅管の用途とは?
大規模ビルから小規模店舗に至るまで、冷媒を用いたパッケージエアコンと、住宅やマンションなどのルームエアコンは広く採用されており、そこに冷媒用被覆銅管が使用されています。 その一例を下図に示します。
3.冷媒用被覆銅管の施工フローについて
基本的な施工フローとなりますが、施工の作業項目を工程順にご紹介します。
1.製品の保管
2.製品の取り扱い(直管)
3.コイルの巻き戻し(コイル管)
4.配管の切断
5.バリ取り(直管)・管端真円修正(コイル管)
6.曲げ加工
7.銅管の接続
7-1.フレア接続(コイル管)
7-2.機械式継手接続(直管・コイル管)
7-3.ろう付け接続(直管・コイル管)
8.保温材の接続
9.配管の支持
10.保温材の保護
11.防火区画貫通部の処理
※空調機器更新時の冷媒用被覆銅管の取り扱いについて空調機器の更新時には下記2点をご考慮の上、冷媒用被覆銅管も同時に更新していただくことが大切と考えています。
①現在の冷媒用被覆銅管の保温材は従来の可燃性のものから難燃性のものに変わっています。難燃性の冷媒用被覆銅管に更新することにより、安全性を高められると考えます。
②地球温暖化防止対策として冷媒のリークを極力減らす取り組みを、国が率先して進めています。これを尊重し空調機器を更新する際は、継手部でのリークの危険性、 支持部等での伸縮の繰り返しによる疲労割れの可能性等を点検するとともに、可能であれば早めに新しい冷媒用被覆銅管に更新することが望ましいと考えます。
施工の作業項目については、注意事項や取り扱い方法、加工、接続にもいくつか種類があります。
ご確認いただきたいポイントですので、順番にご紹介をしていきます。
【冷媒用被覆銅管とは?と突然聞かれると困ってしまうことありませんか?|INABA note vol.1】