エアハンやドレントラップというワードを聞くことがありますが、どのような機能や仕組みの製品なのか、分からない方も多くいらっしゃいます。
今回は「エアハン」と「ドレントラップ」の2つについて説明をいたします。
1.エアハン?トラップ? どのような機能や役割があるのか?
エアハンとは「エアハンドリングユニット」の略で「AHU」とも呼ぶことがあり、冷温水コイル・加湿器・ドレンパン・送風機・エアフィルタを一体に組み込んだ比較的大容量の空気調和機です。
建物内の還気と建物外の外気を取り込んで温度/湿度/空気清浄度を調整することで、建物内の空気を目的に応じた空質に保つことができます。
エアハンは清浄な空気を建物内に給気し、建物の空調や衛生管理を目的とした大規模施設向けの空調設備と言えます。
大型空調機「エアハンドリングユニット(AHU)」は、機器メーカーからドレン配管には必ず「ドレントラップ」を設けるよう指示されております。
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修(発行元:一般社団法人 公共建築協会)の「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編):令和4年版」の49ページ目にも記載がされております。
https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001472441.pdf
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第2章 配管工事
第4節 配管施工の一般事項
2.4.8 排水及び通気配管
(6) ユニット形空気調和機、コンパクト形空気調和機、パッケージ形空気調和機、マルチパッケージ形空気調和機及びガスエンジンヒートポンプ式空気調和機のドレン管には、送風機の全静圧以上の落差をとった空調機用トラップを設けるものとし、空調機用トラップの形式は特記による。
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トラップ(ドレントラップ)を設置する主な目的は、配管からの外気(異臭)や虫、ねずみ等の小動物の侵入防止です。封水によって遮断する場合は、外気をしっかりと遮断することができますが、水が蒸発してしまうと効果を失うことがあります。エアハンで使用する場合は、空気を建物内に給気し正常に保つためですので非常に重要です。
■身近な封水によるトラップの仕組み
▼管(P字・S字・U字)トラップの仕組み
▼ワントラップの仕組み
▼ドラムトラップの仕組み
2.因幡電工のエアハン用ドレントラップの「吸込型」と「押込型」の違いは?
因幡電工のエアハン用ドレントラップ「ADB」は、大型空調機「エアハンドリングユニット(AHU)」の種類にあわせて、「吸込型」と「押込型」の2つのドレントラップがあります。
■吸込型空調機の場合
空調機運転中にドレン排出口(コイル、ドレンパンのある場所)がマイナス圧(負圧)になるため、ドレン管から二次側の汚染空気を吸い込んでしまいます。
そのため吸込型のエアハン用ドレントラップを設置しなかった場合、送風機能力の高い大型空調機ではドレン管から逆流してくる空気によってスムーズに排水ができずに漏水事故が発生する可能性がありますので、因幡電工は吸込型のエアハン用ドレントラップ「ADB-ST」を用意しています。
■押込型空調機の場合
空調機運転中ドレン排出口(コイル、ドレンパンのある場所)がプラス圧(正圧)になるためドレン管から調和空気を排出してしまいます。
ドレン管にドレントラップを設置して調和空気のロスを防止し、汚染空気や害虫の侵入を防止します。
また押込型のエアハン用ドレントラップを設置しなかった場合、送風機能力の高い大型空調機では排出する空気によりドレン管でつながっている他の機器の排水を阻害する恐れがありますので、因幡電工は押込型のエアハン用ドレントラップ「ADB-PT」を用意しています。
3.ドレントラップのお悩みは、因幡電工のエアハン用ドレントラップ「ADB」で解決!
ドレン用逆止弁に中・大型空調機用のエアハン用ドレントラップ「ADB」は、フタと本体の間にすき間なくゴムパッキンがあるため気密性に優れております。
耐候性もあり屋外使用にも対応していますので選定がしやすいエアハン用ドレントラップです。
ポイント1:カンタン選定
エアハン用ドレントラップ「ADB」は「吸込型」か「押込型」を選ぶのみで簡単に選定ができます。
逆止球で逆流を防止することができます。
ポイント2:カンタン施工
エアハン用ドレントラップ「ADB」はパッキンを取り付けた配管を挿入し、アダプターナットを締めるだけで配管の接続ができます。
流出側の開口位置が高く、管の勾配が取りやすくなっています。
ボルト固定用穴があるので、ドレントラップが動くのを防止したり、現場の状況に合わせて固定して設置することが可能です。
ポイント3:カンタンメンテ
透明フタで中の様子が確認できて、ワンタッチで着脱が可能でメンテナンス性にも優れています。
【トラップ設置時の必要落差算出】
設置時は、空調機運転時に発生するドレン口静圧に応じた落差が必要です。
この落差が不適切な場合はドレン排水が滞ってうまく排出されませんので注意してください。
次の計算式より必要落差を算出してください。
※ドレン口静圧=全静圧-機外静圧÷2
ドレン口静圧が正確に算出されている場合はその数値を用いてください。
●吸込型
ドレン口静圧が-3000Pa~0Paまでの機内が負圧となる空調機に使用します。
吸込型のh寸法(必要落差)の求め方
h=X[Pa]÷9.8+110mm
●押込型
ドレン口静圧が0Pa~+1500Paまでの機内が正圧となる空調機に使用します。
押込型のh寸法(必要落差)について
h=180mm以上
建物の空調や衛生管理を行う空調設備のエアハンには、外気(異臭)の遮断や小動物の侵入防止するためにドレントラップが必要となります。
製品の選定や施工に悩まれている方は、屋外でも使用できるエアハン用ドレントラップ「ADB」も含めて、最適な製品検討をされてはいかがでしょうか。
【エアハンやトラップの機能や役割って?わかりやすく説明!|INABA note vol.21】
■用語集
静圧:空気を押し出す力
正圧:圧力が高い空気の状態(プラス圧)
負圧:圧力が低い空気の状態(マイナス圧)