前回「冷媒用被覆銅管の不具合について理解しよう!(1)」では、「冷媒用被覆銅管の表面結露」と「保温材接続部の分断」について説明をいたしました。
引き続き、その他の不具合事例をご紹介します。未然に予防する対策をしましょう。
1.立て管最下階エルボの座屈について
■不具合状況
立て管が下方にずり下がっており、最下階のエルボが座屈していた。
■発生原因
立て管は下方向に常に自重が加わっており、熱伸縮を繰り返すことで、配管がずり落ちていき、最下階エルボが座屈したものである。
■対策
専用の支持金具を使用して中間階で固定することで、固定点で配管の自重を受けると同時に、固定点を支点に銅管の熱伸縮を上下に均等に逃がして最下階エルボへの負荷を半減させる。
※最上部・最下部に立て管の熱伸縮量を吸収できる措置が別途必要となる場合もある。
2.フレア接続部の脱管について
■不具合状況
エアコン室外機の配管接続部において、片側の配管が脱管していた。
なお、脱管した配管の先端部はフレア形状でなくストレート形状になっていた。
■発生原因
管内面奥に室外機接続部のユニオンと接触していた跡が確認されたため、配管接続後に何らかの強い引っ張り力を受けて、フレアナットからすり抜けたものと考えられる。
また、フレア面が室外機のユニオンに届かない状態でフレアナットを締め付けていくと、同様に配管フレア部がナットからすり抜けていき、配管の先端部のみでわずかに室外機のユニオン部とフレア接続されている状態になっていたものが、後日、ガス圧や配管の引っ張り等を受けたため脱管したような事例もある。
■対策
機器との配管接続作業に入る前に、配管の先端が機器の配管接続部に十分届き、施工後も配管が引っ張りを受けるようなことがないことを確認する。
配管接続作業は、まず配管のフレア面を機器側のユニオンのシート面に突き合わせた状態でフレアナットを手で締まるところまで締め込み、トルクレンチを使用して規定の締め付けトルクで締め付ける。
冷媒用被覆銅管の不具合事例を2つご紹介しました。
不具合を理解して対策をすることで予防することができますので、ぜひご活用ください。
【冷媒用被覆銅管の不具合事例について理解しよう!(2)|INABA note vol.17】